日本が誇るラーメン文化を世界に広めるべく、果敢な海外進出を続ける一風堂。今や国内のみならず、アメリカを筆頭に15ヵ国で274店舗を展開するグローバルブランドへと成長を遂げました。そんな一風堂の海外での躍進の軌跡と、現地メニューの値段事情、日本との味の違いまで、徹底的に探っていきましょう。
１．一風堂は独自の味とコンセプトで国内外で人気を博し、2008年のニューヨーク進出を機に世界的なラーメンブームを巻き起こした
２．「ラーメンダイニング」という新業態の導入がニューヨークでの成功の鍵となった
３．現在、15ヵ国274店舗を展開し、現地の嗜好に合わせつつ日本の食文化の魅力を伝えている
４．一風堂の海外戦略は、ラーメンを通じて日本文化への理解を深めることを目指す、日本企業の世界展開の理想形の一つである
アメリカの一風堂の値段｜アメリカ進出の軌跡と戦略に迫る
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福岡発の人気ラーメン店が世界に挑戦
1985年、福岡の地で産声を上げた一風堂。創業者の河原成美氏が掲げたのは、豚骨臭さを抑えつつ濃厚な味わいを追求する”博多とんこつラーメン”でした。独自の味とコンセプトが支持され、瞬く間に福岡の人気店へと成長。1994年に関東初出店を果たし、その後のテレビ出演で全国区の知名度を獲得します。
店舗づくりでも独自色を打ち出しました。「女性でも気軽に入れるラーメン店」をコンセプトに、木目調の内装にジャズが流れる店内。ラーメン店の常識を覆す空間が、新たなファン層を開拓していったのです。
しかし、国内の競合が次々と台頭する中、一風堂の店舗数は150店舗程度に留まっていました。次なる勝機を掴むためには、未開の海外市場に活路を見出す必要がありました。
ニューヨーク出店を機に海外ブームを巻き起こす
2008年3月、ニューヨークのイーストビレッジ、4th AvenueとEast 9th Streetの間に、一風堂は海外1号店となる「IPPUDO NY」をオープンさせます。様々な苦難を乗り越えてのスタートでした。
実は、2000年頃から海外展開を模索するも、2001年の同時多発テロで一度は断念。さらに中国での出店と撤退を経験するなど、紆余曲折の連続でした。
そんな中での再挑戦。開店前のプレスリリースが奏功し、初年度で4億5000万円もの売上を達成する大ヒットとなりました。「IPPUDO NY」は早くもニューヨークを代表するラーメン店へと急成長。現地のラーメンブームに火をつけたのです。
ラーメンダイニング業態が海外での成功の鍵
ニューヨークでの成功の理由のひとつが、「ラーメンダイニング」業態の導入にありました。
「IPPUDO NY」は、店内にバーカウンターを併設。ラーメンの前後に、お酒やおつまみを楽しめる新しいスタイルを確立したのです。充実したドリンクメニューと、女性客でも入りやすい雰囲気が、ニューヨーカーの心を掴む武器となりました。
日本の常識に捉われない新業態が、ニューヨークの地で支持を集めていったのです。一風堂だからこその海外展開モデルが確立された瞬間でした。
一風堂の海外店舗数は274店舗、15ヵ国に及ぶ
ニューヨークでの成功を皮切りに、一風堂の海外進出は加速。2009年のシンガポールを皮切りに、アジアを中心に出店攻勢をかけていきます。
現在では香港、台湾、オーストラリア、イギリス、フランスなど、15ヵ国274店舗を数えるグローバルブランドへと成長。状況に合わせて直営店とライセンス方式を使い分け、各国のパートナーと共に店舗網を拡大しています。
戦略の肝は、各国の旗艦店に自社で出店すること。ニューヨークやシンガポールといった大都市に構えた直営店が、強力な情報発信拠点となっているのです。世界のどこでも一風堂クオリティを体験できる状況が、着実に整いつつあります。
アメリカの一風堂の値段と評判を徹底調査
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アメリカの一風堂のメニューと値段をチェック
気になるアメリカの一風堂のメニューと値段は以下の通りです。
まずはラーメンのラインナップから。
- 白丸元味（Shiromaru Motoaji） 18ドル
- 赤丸元味（Akamaru Motoaji） 19ドル
- からか麺（Karaka Spicy） 20ドル
- 黄緑ゆず醤油（KimidoriYuzu Syouyu） 19ドル
- ポタラ味噌ラーメン（Potara Miso Ramen） 20ドル
野菜ラーメンは、ニルヴァーナ白丸（Nirvana Shiromaru）、ニルヴァーナ赤丸（Nirvana Akamaru）、ニルヴァーナからか麺（Nirvana Karaka Spicy）の3種類を展開。価格は18〜20ドルです。
トッピングは以下の通り。
- 卵（Egg） 3ドル
- ポーチドエッグ（Poached Egg） 2ドル
- 豚チャーシュー（Pork Chashu） 6ドル
- 鶏チャーシュー（Chicken Bresat Chashu） 5ドル
- 豆腐チャーシュー（Organic Tofu Chashu） 3ドル
- 爆弾（辛さペースト）（Bakudan Spicy Paste）2ドル
- ほうれん草（Spinach） 3ドル
- コーン（Corn） 2ドル
- メンマ（Menma） 3ドル
- のり（Nori） 2ドル
- ねぎ（Scallions） 2ドル など
替え玉は3ドルとのこと。日本とは価格帯が異なりますが、ニューヨークの物価を考えれば妥当な設定と言えるでしょう。
注目すべきは、充実のサイドメニュー。定番の一品料理に加え、豊富なドリンクが用意されています。ラーメンと共に楽しめるよう、トータルでの提案力が光ります。
アメリカの一風堂の数は現在10店舗
2024年6月時点の一風堂のアメリカ国内店舗数は全10店舗。内訳は以下の通りです。
ニューヨーク：計5店舗
- IPPUDO NY（East Village）- 65 4th Ave, New York, NY 10003
- IPPUDO WESTSIDE – 321 W 51st St, New York, NY 10019
- IPPUDO 5TH AVENUE – 24 W 46th St, New York, NY 10036
- IPPUDO CLOUD KITCHEN（Bronx）- 2368 Hoffman St., Bronx, NY 10458 ※デリバリー/テイクアウトのみ
- KURO-OBI at URBANSPACE VANDERBILT – 230 Park Ave, New York, NY 10169
ロサンゼルス：1店舗
- IPPUDO WEST HOLLYWOOD – 8352 Santa Monica Blvd, West Hollywood, CA 90069
サンフランシスコ周辺：計4店舗
- IPPUDO SAN FRANCISCO – 18 Yerba Buena Ln, San Francisco 94103
- IPPUDO BERKELEY – 2015 Kala Bagai Wy, Berkeley, CA 94704
- IPPUDO CUPERTINO – 19540 Vallco Parkway Suite 130, Cupertino, CA 95014
- KURO-OBI at HILLSDALE SHOPPING CENTER – 60 E 31st Ave, Hillsdale Shopping Center Dining Terrace San Mateo, CA 94403
大都市を中心に厳選出店する戦略が伺えます。特に看板店のニューヨーク1号店「IPPUDO NY」は、行列必至の超人気店。各種メディアでも取り上げられ、日本食ファンのみならずあらゆる層から支持を集めています。
現地の口コミからみる一風堂の評判と味の違い
気になるのは、現地での味の評判。日本人の間では「日本の一風堂とは違う」という声が少なからず聞かれます。
NY1号店の口コミを見ると、「ガーリック感が強すぎてスープに奥行きがない」「カップラーメンのようだ」など辛口のコメントが。「日本の味を期待すると物足りない」という指摘も見受けられ、現地の味覚に寄せているのは事実のようです。
ただ、それは日本人目線の話。現地の人にとっては、一風堂の味こそが「本場の日本のラーメン」。日本食ブームの先駆者としての役割は、十分に果たしていると言えるでしょう。
むしろ、日本とは違う味わいや楽しみ方を提供することが、海外での新しいラーメン体験につながっているのかもしれません。現地の嗜好に合わせたアレンジを加えつつ、日本の食文化の魅力を伝えていく。それこそが、一風堂の真骨頂なのです。
一風堂のアメリカ店の戦略や値段について総括
斬新な発想力と行動力で、ニューヨークに新たなラーメン文化を根付かせた一風堂。彼らの海外戦略は、日本企業の世界展開における一つの理想形と言えるでしょう。今後も世界各地で、ラーメンの可能性を切り拓いていってくれることでしょう。
ただ、海外展開の先にあるのは、単なる店舗数の拡大ではありません。一風堂が目指すのは、ラーメンを通じて日本文化への理解を深めていくこと。それこそが、彼らの真の存在価値なのかもしれません。
ニューヨークの街角で一風堂の看板を見つけたら、ぜひ一度足を運んでみてください。味や雰囲気の違いを肌で感じつつ、改めて日本人としての誇りを感じられるはずです。
