カップラーメンは、忙しい現代人の食生活に欠かせない存在となっています。手軽に食べられる上に、満足感のある味わいが魅力ですよね。中でもカップヌードルは、即席カップ麺の先駆けとして1971年に登場し、今なお不動の人気を誇っています。
そんなカップヌードルには、「謎のエビ」と呼ばれる具材が入っていることをご存知でしょうか。小さなピンク色のエビが、スープの中に浮かんでいる姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、このエビの正体について、「オキアミではないか」「虫の幼虫なのでは」といった噂が流れることもあるようです。
果たして、カップヌードルの謎のエビとは一体何なのでしょうか。本記事では、このエビの正体を徹底的に調査し、噂の真相に迫ります。カップヌードルファンの方はもちろん、普段あまり意識していなかった方にも、ぜひ知っていただきたい情報が満載です。それでは、ミステリーに包まれたカップラーメンのエビについて、詳しく見ていきましょう。
1.カップヌードルの「謎のエビ」の正体は、プーバランというエビの一種である
2.プーバランは、カップヌードル発売当時は高級食材であり、色合い、味、耐久性などの理由から選ばれた
3.カップヌードルのエビに背わたが残っているのは、フリーズドライ加工の影響であり、健康上の懸念はほとんどない
4. カップヌードルのエビが虫だという噂はデマであり、パッケージの原材料表示でプーバランと明記されている
カップラーメンのエビは本物?正体を徹底調査!
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謎エビの正体とは?
結論から言えば、カップヌードルに使われている「謎のエビ」は、プーバラン(学名:Metapenaeus dobsoni)というエビの一種です。プーバランは、十脚目クルマエビ科に属する小型のエビで、インド洋や太平洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布しています。
プーバランの大きな特徴は、透明感のある体と赤い斑点模様にあります。雌雄ともに体長は最大でも125mm程度と小さく、1年程度の寿命と言われています。プーバランは別名、カダルエビやピンクエビとも呼ばれており、東南アジアでは食用エビとしてポピュラーな存在です。
しかし、プーバランの小ささゆえに、プランクトンの一種であるオキアミと混同されることがあるようです。また、フリーズドライ加工されたプーバランは丸まった形状になるため、虫の幼虫のように見えることから、そのような噂が広まったのかもしれません。でも、ご安心ください。プーバランはれっきとしたエビの仲間であり、食材としての歴史も長いのです。
プーバランは、日本でもカップヌードル以外の食品に利用されています。インスタント麺やシュウマイの具材として親しまれており、スーパーの冷凍食品コーナーで見かけることもあるかもしれません。つまり、私たちの食卓にとって、それほど珍しい食材ではないのですね。
実は高級食材だった?
プーバランと聞くと、どこか高級感のあるネーミングですよね。実は、それも的を射ているのです。今ではリーズナブルに手に入るプーバランですが、カップヌードル発売当時は、非常に高価な食材だったことをご存知でしょうか。
1972年頃、プーバランの相場は1kgあたり4,500円ほどだったと言います。当時の感覚からすると、かなりの高級品だったことが伺えます。乾燥小エビの中でも、最高ランクに位置づけられる食材だったのです。
それでは、なぜカップヌードルの開発者である安藤百福氏は、わざわざ高級食材のプーバランを選んだのでしょうか。その理由は、いくつか挙げられます。
- 鮮やかな色合いと高級感がある
- 味や色が抜けにくく、食感も良い
- 衝撃に強く、型崩れしにくい
安藤氏は、世界中から60種類以上のエビを取り寄せ、開発チームと共に試食を重ねました。その中から選りすぐりの6種類に絞り込み、さらなる実験を行ったのです。フリーズドライ加工したエビをカップ麺に詰め、数日間放置した後に開封するテストも実施されました。
こうした試行錯誤の末に、プーバランがカップヌードルのエビとして選ばれたのです。単に見栄えや味だけでなく、保存性や輸送時の耐久性なども考慮されていたのですね。カップヌードルのエビは、まさに安藤百福氏のこだわりが詰まった逸品だと言えるでしょう。
何の種類かを詳しく解説
ここで、プーバランについて、もう少し掘り下げてみましょう。先ほども触れたように、プーバランの学名はMetapenaeus dobsoni です。十脚目クルマエビ科に属するエビの一種で、英名はPoovalan(プーバラン)とも呼ばれています。
プーバランの主な生息域は、以下の通りです。
- インド洋
- 南シナ海
- オーストラリア北部沿岸
水深37m以浅の泥や砂泥の海底に生息しており、熱帯・亜熱帯海域に広く分布しているのが特徴です。プーバランは雌雄異体で、成長すると雌は雄よりも大型になる傾向にあります。
ちなみに、プーバランに限らず、エビは種類が非常に多岐にわたります。日本で食用とされるエビだけでも、数十種類はあると言われています。代表的なものとしては、クルマエビ、ブラックタイガー、バナメイエビなどが挙げられますね。プーバランは、これらのエビと比べるとやや小型の部類に入ります。
カップラーメンのエビの正体|背わたは取る必要があるの?
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背わたが残っている理由
エビを調理する際、背わたと呼ばれる消化管を取り除くのが一般的ですよね。なぜなら、背わたには砂や不純物が含まれている可能性があるからです。ところが、カップヌードルのエビを見てみると、背わたがそのまま残っていることに気づくはずです。
これは、カップヌードルのエビがフリーズドライ加工されているためです。フリーズドライとは、食品を急速冷凍し、真空状態で乾燥させる加工法のことを指します。この過程で、エビの組織が破壊され、背わたを取り除くことが難しくなるのです。
さらに、カップヌードルのような大量生産品において、一つ一つのエビから背わたを取り除くのは非現実的です。手間やコストを考えると、効率が悪すぎるのです。こうした事情から、カップヌードルのエビには背わたが残されているわけですね。
背わたを取らずに食べても大丈夫?
では、背わたが付いたままのエビを食べても問題ないのでしょうか。結論から言うと、カップヌードルのエビについては、背わたを取らずに食べても健康上の懸念はほとんどありません。
確かに背わたには不純物が含まれているかもしれません。しかし、フリーズドライ加工の過程で殺菌が行われているため、衛生面でのリスクは限りなく低いと言えるでしょう。加えて、カップヌードルのエビは小さいので、背わたに含まれる砂の量もごくわずかです。
実際のところ、世界には背わたを取らずにエビを食べる食文化が数多く存在します。日本でも、しらすや桜エビなどの小エビは、背わたごと食べるのが一般的ですよね。食感や風味を損ねないためでしょう。
もちろん、背わたが気になる方は取り除いても構いません。ただ、フリーズドライ加工されたプーバランは組織が壊れているため、背わたを完全に取り去るのは至難の業かもしれません。かえってエビが崩れてしまう恐れがあるので、注意が必要です。
虫という噂の真相
ここまで見てきた通り、カップヌードルのエビがオキアミや虫の幼虫だというのは、完全なデマだと言えるでしょう。プーバランは紛れもないエビの一種であり、古くから食用として利用されてきた食材なのです。
では、一体なぜこのような噂が広まったのでしょうか。その背景には、プーバランの外見的特徴があると考えられます。プーバランは小型のエビで丸まった形状をしているため、一見すると虫の幼虫のように見えなくもありません。
また、インスタント食品に対する漠然とした不信感も、噂を助長した可能性があります。添加物や原材料への疑念から、根拠のないデマが広まってしまったのかもしれません。
ただ、日清食品はカップヌードルの具材について、きちんと情報開示を行っています。パッケージの原材料表示を見れば、エビの種類がプーバランだと明記されているはずです。噂に惑わされることなく、正しい情報を確認することが大切ですね。
カップヌードルの謎エビ疑惑は、結局のところ、デマや思い込みが独り歩きした結果だったのです。安藤百福氏と開発チームが吟味し抜いて選んだプーバランを、自信を持って味わってみてはいかがでしょうか。小さなエビに、大きなドラマが詰まっているはずです。
カップラーメンのエビの正体について総括
カップヌードルは発売から半世紀以上が経過した今も、進化を続けています。具材の種類や製法にも、更なる改良が加えられているはずです。これからも、カップヌードルから目が離せませんね。私たちの食卓に彩りと驚きを与え続けてくれることでしょう。
カップラーメンのエビの正体について、詳しく解説してきました。カップヌードルの謎のエビは、プーバランというエビの仲間だったのですね。ただの添え物ではなく、こだわり抜いて選ばれた主役級の具材だったのです。
噂に惑わされず、安心して美味しく食べられるのは嬉しい限りです。インスタント食品の常識を覆した革新的な商品であるカップヌードル。その味わいを支える名脇役のエビにも、ドラマがあったのですね。次にカップヌードルを食べる時は、プーバランのことを思い出していただければ幸いです。